眼球に注射 - フェイキックIOL(ICL)手術を受ける/右眼

眼球に注射 - フェイキックIOL手術を受ける(右眼)|ICL術後19年目のリアル

いよいよ手術当日。付き添いなし、私はひとりで医院を訪ねました。

精神安定剤は要りますか?

まずは当日の簡単な問診から。そして精神安定剤が必要かを問われました。お医者さんの話によると、手術は部分麻酔で行われ、且つ手術中目を開けていなければならないことから、強い不安を覚える人もいるそうです。

映画や小説の中でしかお目にかかったことのない精神安定剤…! 不安対策というよりも純粋な興味から戴いて即服用してみましたが、効果のほどは全く分かりませんでした。初めての精神安定剤に寧ろ変な高揚を覚えつつ、目薬型の麻酔を受けました。

正直、この辺りまでは 虹彩切除の時と同じような流れだったので、そこまで緊張はしていませんでした。…問題はこの後でした。

眼球に注射!

眼球に注射|ICL術後19年目のリアル

手術室は、かなり冷房が効いていました。一歩入ってまず「寒い!」と思ったことを覚えています。看護師さんの指示に従い、診察台に横になりました。 手術中に目を閉じたり、眼球を動かしたりしないよう、瞼及び眼球それ自体にがっちりとテープ状のもので固定されました(と思うのだけれど、鏡がある訳ではないので詳細はよくわかりません)。

歯医者さんでは、プラスチックや金属の器具で口周りを固定されることがあるけれど、あれの眼球版といった感じ。これで最早、自分の意志で瞼を動かすことができなくなりました。

そしてその後、主治医の

主治医の先生

「では麻酔しますね」

の一言が頭上から降ってきて「はて麻酔なら先ほどしてもらった筈…」と一瞬呑気に構えたのも束の間。 右眼裸眼視力0.03しかない上に、医療用テープ/ジェルか何かで視界全体が霞がかって映る私の目にも見えてしまったのです。数瞬後、私の眼球に刺さるであろう注射の針が。

瞬間、谷崎潤一郎の変態的名作『春琴抄』の一節が鮮やかに脳裏に蘇り、気絶したい気持ちになったけれど、注射針はするすると近づいてきて、私の眼球に刺さりました。私の恐ろしく悪い目でも、それが見えました。

成るべく苦痛の少い手軽な方法で盲目になろうと思い試みに針を以て左の黒眼を突いてみた黒眼を狙って突き入れるのはむずかしいようだけれども白眼の所は堅くて針が這入らないが黒眼は柔かい二三度突くと巧い工合にずぶと二分程這入ったと思ったら忽ち眼球が一面に白濁し視力が失せて行くのが分った出血も発熱もなかった痛みも殆ど感じなかった 谷崎潤一郎「春琴抄」(新潮社文庫より抜粋)

注射自体は手早く行われ、痛みもありません。触覚としての痛みはないものの、視覚的には激痛でした…。

レンズが入った瞬間、突如視界がクリアになる

乾燥を防ぐ為なのか、手術中は絶えず眼球に冷たい液体が注がれ続けていたようでした。この液体のお陰なのか、麻酔が効いたためなのか、以降は大分視界がぼやけ、恐怖心は多少和らぎました。

幸い、眼球にメスが入った刹那は認識できなかったけれど、レンズが入った瞬間は、これ以上ないくらいはっきりと判りました。ぼやけて何も見えなかった目が、突如くっきりと見えるようになったからでした。手術室の天井が、いきなり恐ろしいほどの明瞭さで見えるようになったのです。

私の場合、片眼ずつの施術/レンズ挿入後の縫合が必要なかった為、手術は20分足らずで終了。術中、痛みを感じることは一切ありませんでした(視覚的幻痛以外は…)。既に手術の最中、視力が一挙に矯正されたのを実感しましたが、薬の効き目が切れると、更に視界ははっきりとクリアになりました。

帰宅時の注意事項と、当日の禁止事項

帰宅時の注意事項と、当日の禁止事項|ICL術後19年目のリアル

目の保護の為、大振りのサングラスをかけて帰宅。視力自体は回復しているので、電車・バス等の公共交通機関を使うのも問題なし。

ただ、万が一のことを考え、可能な限り通勤ラッシュは避けた方が安全だと思います。その方が、精神的にも気楽になろうかと。

また手術当日は、洗顔はおろかお風呂・シャワーも禁止。切開創が落ち着くまで、とにかく触らず清潔に保つことが肝要とのことでした。なるべく目に負担をかけないよう、PC端末や書籍等は振れずにおきました。また無意識に目を触らないよう、就寝時には保護用のプラスチック製アイカバーを付け、早めに寝みました。